当時の音源で聴きたい!メタリカ「メタルマスター」(Muster of Puppets)

スラッシュメタルの四天王・メタリカファンが抑えて起きたい名アルバム「メタルマスター」(Master of Puppets)は事故により不慮の死を遂げたクリフ・バートンをベーシストとして迎えた最後のアルバムである。TAMAのドラムセットで2つのバスドラムを巧みに操り、スネアやシンバルの音1つ1つが楽器として際立ちを見せるドラマーのラーズ・ウルリッヒの故郷・デンマークで収録された作品として一世風靡しただけでなく、現在もコアなリスナーを持つ楽曲も多い。ヘッドフォンで聞くと右側と左側から分かれて流れてくる個々のパーツの音色を存分に全身で堪能できる。命を削って作った緻密に計算されて起承転結まで考えられて作られた楽曲に宿る魂は時代が変わっても音に宿り続けるのだ。

その「メタルマスター」の魅力について語ってみよう。1曲目の「バッテリー」はメロディアスなギターから重厚感のあるアグレッシブな旋律へと移り変わっていくところが魅力のオーディエンスとメタリカの絆が描かれ、攻撃的な楽曲の中に含まれたファンへの愛が込められた楽曲だ。ジェームズ・ヘットフィールドのダウンピッキングにも注目したい。2曲目のタイトルともなっている「マスターオブパペッツ」は薬物依存の恐怖に関する楽曲だがObey Your Masterという主人に服従しろという歌詞に威圧的で上から目線の学校の教師や政治家などの上に立つものと重ね合わせて聴いた者も多かったことだろう。激しい楽曲の中にメロディアスな泣きのギターの旋律が入るところや後半のカーク・ハメットによる巧妙な速引きやいつまでも耳に残り続けるリフのかっこよさにも注目しながら聴きたい。

3曲目の「ウェルカムホーム」は隔離病棟に入れられた精神疾患を患う者について描かれた切ない楽曲だ。ジェームズの歌やギターのメロディーからも悲壮感と暴力的な錯乱と悲壮感に苦しむ人間の苦悩が垣間見れるリアリティを感じる楽曲だ。ギターのリフやカークの速引きやドラムソロと息の合うベースとドラム、パーツごとの際立ちと結束感もさながらこの重低音は当時のレコードやカセットテープのアナログサウンドでじっくりと聴き込みたい。

4曲目の「ザ・シング」はパルプマガジンの架空の小説である「クゥトゥルフ神話」が題材となっている楽曲で音と歌詞を通じてその壮大なスケールや宇宙観が示されている。ドラムとベースの奥行きあるサウンドが別世界へと誘ってくれる貴重な一曲。5曲目の「ディスポーザブル・ヒーローズ」は攻撃的な曲の中に最前線で死にゆく兵士の悲しみや怒りが込められた楽曲だ。まるでメンバーはそれらの魂が生き返り取り憑いたかのように魂を揺さぶる演奏を仕掛ける。これこそ80年代の当時のままの音源で聴きたい1曲だ。

6曲目の「リパー・メサイア」は宗教による洗脳や偽善を痛烈に皮肉っている。lie,lie,lieの合唱に重低音響くギターリフやドラムがじっくりと堪能出来る、終わり方もかっこいい1曲。7曲目の「オリオン」はベースが主軸のインストゥルメンタル。耳に残るギターリフと共に、ベース通にとってカリスマ的存在である、クリフによる楽曲とベースラインの世界観を全身で堪能したい。8曲目の「ダメージ・インク」は最後を飾るに相応しいメタリカらしさの詰まった疾走感あふれる楽曲だ。心酔してしまうギターソロの美しさやリズムやギターのかっこよさが完璧とも言える一曲。

この力強い楽曲達は今は亡き・クリフバートンの魂と共に若きメタリカのメンバーの最もエネルギッシュな時代を堪能できる。当時を懐かしむ世代はもちろん、音楽を志す者や現在起きているウクライナ情勢などについて疑問を感じている者や様々な社会問題に関心を持つ若者へも推奨したいアルバムだ。このアルバムを最も魂から味わうには当時のレコードやカセットテープの音源で聴くことを推奨したい。音源を選べる今においてレコードのように場所を取らず、カセットテープのように伸びない状態でコンパクトなCDで堪能したい。メタリカのクリフ・バートンの最期のアルバムとなった「メタルマスター」を今こそ聴きたい。

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