隠れた名盤 Part19

The Ventures – On Stage

1965年の作品です。

日本で正式に発売されたのが、1976年になります。
その理由については、レコードのライナーノーツを参照してください。
作品は、「ベンチャーズ・イン・ジャパン」と重複している曲は多く、多少、荒削りの部分もありますが、それがライブの良いところです。

[1976年当時 ライナーノーツより抜粋]

ベンチャーズが所属するリバティ・レコード(1968年からユナイテッド・アーチスツ社のレコード部門に吸収、合併されたので、 正式にはリバティ=UAというべき)の日本での窓口が、これまでの東芝EMIレコードから新たにキングレコードに代わって、ベンチャーズのレコードもすべて装いを新しくして発売し直されています。
”ベストもの”サーフィンもの”などで、これまでよく耳にした曲も組み直しが新しくなっただけで、また別の曲のように聞こえてくるから不思議です。
しかし、このアルバム「ベンチャーズ・オン・ステージ」は組み直しでもなければ、再発売でもなく、 東芝リバティ時代に未発売のまま放置されていた日本における貴重な初お目見得盤なのです。

何しろ、どのアルバムも(シングル盤も同じですが)出せばベスト・セラー間違いなしのスーパー・グループ、ベンチャーズ のことです。

まさか、日本未紹介のアルバムがあるとは思ってもみませんでしたが、現にこうして存在したのです。
まずは素直に喜ぶべきでしょう。

このライヴ・アルバムは原題「The Ventures On Stage 」で、1965年6月にアメリカで発売されました。
オリジナル・レコード番号はBST-8035、今回はそのオリジナルのまま日本発売になるものです。
なお、このアルバムはビルボード誌のアルバム・ランキングで最高27位まで上がったことも付け加えておきましょう。
(ちなみにベンチャーズの全アルバム中、ビルボードのランキングで最高位は’69年発売の「ハワイ・ファイヴ・オー」で第9位。
この27位は4番目の記録に当たります。

さて、このアルバムは”ライヴ(実況録音)”とはいっても1ヵ所で収録したものではなく、日本、イギリス、アメリカの各国で行われたコンサートの録音の中からピック・アップして作られています。
今流の表現でいうなら、ベンチャーズ・ツアーの様子がアルバムになった、というところでしょうか。

A面が日本での録音、B面が前半イギリス、後半アメリカの録音ということは明示されていますが、 日時その他のくわしいデータは明らかにされていません。
ただ、その前後のことは判っていますから、ちょっと触れておきます。

1965年1月、ベンチャーズは2度目の日本公演を行ないました。
’62年5月に当時の人気歌手ボビー・ヴィーと共に来日したのが第1回目でしたが、この時ベンチャーズはまだほとんど無名、しかもドンとボブのデュオでしたから、客席の反応はゼロに等しかったのです。
で、第2回目がドン、ボブ、メル、ノーキーのフルメンバーによる実質的にはベンチャーズの初来日といえるものでした。
レコード発売時期から考えても、このツアーのうち日本の部分は、’65年1月の録音ということになります。
(イギリス、アメリカのものも、いずれこの前後に収録したものでしょう)。

なお、この第2回目の日本でのライヴは、それだけで1枚のレコードにもなっているのです。
記憶に残っている方も多いと思いますが、ライヴ・レコードの傑作、特に日本でのライヴの中では、当時最高作だろうといわれた「ベンチャーズ・イン・ジャパン」がそれです。
同年7月に売り出され(これは3回目の来日にタイミングを合わせたのです。何と、この年ベンチャーズは2度も公演を行なったのです!)たちまち50万枚を売ったあのアルバムです。
その録音をこちらにも借用、つまり二重使用したことは確実です。

こう書けばもう察した方も多いでしょう。日本では「ベンチャーズ・イン・ジャパン」が売れに売れている時、 同じような内容のライヴ・アルバムを出す必要がなかった、だからこれは日本では黙殺されてしまったのです。
しかし、今となっては違います。

栄光のベンチャーズの歩みを振り返る意味でも欠かせない”幻”のアルバムを、現実のものとしなければ…

01 Wipe-Out
02 Journey To The Stars
03 Slaughter On 10th Avenue
04 Caravan
05 Pedal Pusher
06 Apache ’65
07 Bumble Bee
08 Driving Guitars
09 Medley (Walk, Don’t Run; Perfidia; Lullaby Of The Leaves)
10 Yellow Jacket